イギリスについて僕が最も評価していることのひとつが、メディアの健全性である。
特に新聞は、主義主張がハッキリしている。筋が通らない公的プロジェクト、反社会的な企業行動などは、徹底的に取材され、糾弾される。その結果、政治家、市民、企業の間に、大変良い緊張感がある。
カバーしているテーマの広さ、深さにも感心させられることが多い。良い記事が出た数日後に、朝日や日経に焼き直しの記事が、あたかも自分で考えたテーマのように載るのには毎回呆れてしまう。
日本の新聞は、いつの間にか主義主張を自ら辞めてしまった。「ペンは剣より強し」の気概が全く感じられない。事実の報道にひたすら徹するのが、メディアの使命か?今年の新聞協会賞が「UFJとMTFGの統合」と言うのは象徴的だ。
例えば、核燃料再生プロジェクト。操業開始と同時に、10兆円以上ものコストが国民に回ってくるという。なのに、世論は意思決定に全く参加できていない。元々ソロバンが合わなかった公的プロジェクトの税金による処理。この類の記事を毎日目にするのだが、批判は全くない。メディアの怠慢以外のなにものでもない。その結果が700兆の借金と言うのは良い過ぎか?
さて、写真はUSの大統領が決った日のインディペンデントの一面。イラクの写真、自爆テロの写真、"Finally, a Christian fighting evil. Thank you, George Bush"というプラカードを掲げる一米国市民、石油パイプラインなどの写真と一緒に、"Four More Years"とだけの見出し。一方、5倍の値段を払ってとっている日経衛星版は、やはり「ブッシュ大統領再選」という見出しに、事実報道だけであった。この勝利によって、今後4年間に日本はどの様な意思決定を迫られるのか。一般市民が、このキーポイントについて考える機会は、またしても失われてしまった......。
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