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2011年8月29日月曜日

「官僚の責任」 古賀茂明 読書記


話題の人物。思わず手に取ってしまった。指摘されている官僚組織の問題点は既知の事実であり、なんら新鮮な情報は得られなかった。しかしながら、省益>国益となる堕落の過程、思考回路、その手法を知らない人にとっては読む価値あり。また、官僚自身の「告発本」であることから、第三者の視点から書かれたものとは意味合いが違う。推測ではなく、事実だからだ。一方、民主党がなぜ「看板」通りの政策を行えなかったかの指摘はなんとなく推察出来ていたが、当事者として言語化されており面白かった。新書版で出版したことで、幅広く国民に問題を知らしめることが出来たことが、最大の意義か。

しかし、日本のこのシステムが長く続いているのは、どれだけ頑張っても、官僚は年収1,500万円程度に留まっているという「チンケ」な搾取構造であるからに違いない。中国みたいに、億円単位で搾取すればもっともっと問題となり、民主主義の国では長続きしないであろう。薄く長く寄生するシステムこそが問題だ。著者も色々と案を出しているが、僕は、国Iに受かったら初年度年俸は外資系金融より高い800万円(ちなみに、外資系金融の一年生は700万円)。それからは、目立った成果がなければ給料は上がらず、毎年5%程度は首を切る一方、GDPの上昇に寄与したなどの目立った成果があれば、5,000万円は貰えるシステムにしたら良いと思う。彼らが著者が言うように本当に有能であれば、官僚全員が5,000万円プレーヤーとなり、日本のGDPも格段に上昇するであろう。また、こうした厳しい組織にすることで、バカな地方役人が官僚のマネをしてよりチンケな搾取構造を作ることも防げるに違いない。官僚が真のエリートであるならば、その能力は「登用試験」だけではなく毎年証明されるべきであり、きちんと経済的にもリワードされるべきである。

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