今年3月に英語版が出版されるや否や、話題を独占した書籍の日本語訳が漸く出版された。この本に登場する著名な運用会社同様、当時の僕も全く目の前で起きていることの全容が掴めていなかったことを改めて実感した。異常とも思えるトレーディングコストの急激な増大。綿密な調査を行い、銘柄を入替えると、その期待リターンを何割というオーダーで掠めとられてしまう。誰がどうやって情報を漏らしているのか?そのビックピクチャーを至極単純に見せてくれるのがこの本だ。残念ながら、問題は解決されていない。色々な議論がなされているが、問題は単純だ。エクセキューションのスピードに本質的なアルファが存在するはずがない。この形でのアルファリーケージは資本主義に対する脅威だ。そのコストは、社会全体に跳ね返る。それでも、擁護すべきなのか。答えは明快だ。
金融系の書籍の和訳は、誤訳が目に余ることが多いが、本書はその点きちんと校正がかけられており、読みやすかった。株式投資に関心がある人は必読であろう。そして、深いレベルで問題意識を持ってほしい。
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