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2011年10月28日金曜日

有難う 北杜夫

北杜夫氏がとうとう逝ってしまった。僕と、北杜夫の出会いについては、こちら
恐らく、北杜夫と出会わなければ、今の僕はない。多分、海外に目が向かなかったであろう。違う大学を出て、違う伴侶に出会い、違う子供と遊んでいたであろう。「人生、面白おかしく、しかし時には真面目に。それが一番!」そうは、思ってなかったであろう。それだけの影響を個人に与えられる作家と言うのはやはり凄い。

北杜夫の本を始めて読んだのは中学2年生の夏だった。それから、半年間、僕は彼の本を読み漁った。読み終えては本屋に行き、新しい文庫本を買い求めた。僕が中学生のころは、彼の作品は殆ど文庫本化されていた。つまり、同時体験ではなかったのだ。読みながら、「なんと面白いんだろう。でも、この人はとっても不健康な生活を送っているようだ。あるひポックリいってしまったら、どうしよう。もっともっと、面白い本を書いてほしい」と願ったものだ。しかし、その80年代後半以降、彼は作品足る作品は出さなかった。本当に残念だ。しかし、時折雑誌、テレビなどで今の様子が垣間見れ、やはりファンとして楽しく接したものであった。

先週、無性に松本に行きたくなった。そうか、北杜夫が逝く直前だったからなのだ。だから、僕は松本に行きたかったのだ。縄手通りを目的もなく歩いてみたかったのだ。あれは、北さんから作品全部を読んだ人への礼であったに違いない。

代表作としては、やはり「楡家の人々」であろう。

しかし、僕は「輝ける蒼き空の下へ」こそ彼の集大成だと思っている。


北さん、有難う。Without you, I would have become somebody else.


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