インパクトある表紙に釣られて購入。大変面白かった。
彼を含め、革新的な首長と言うのは私はデフォルトとして応援している。それは過去の私の職業に於いて、既得権益を守りたい利益団体、個人のすさまじさを見ており、かつこれを断ち切ることが出来なければ、日本の再生などあり得ないと思っているからである。不良債権処理に見切りをつけ、小泉旋風が吹き荒れた2000年代前半、色々な地方自治体で著者の様な革新的な首長が誕生した。しかし彼らが数期務めた後、保守的な首長への揺り戻しが起こっているのが今だと捉えている。わが杉並区なども良い例だ。この振り子はまた逆サイドに触れるのか、それとも定位置を見つけるのか、はたまたブレまくるのかが2010年代前半であり、正に国民一人一人の投票が日本の将来を決定的にする局面にあるのであろう。子供の世代を念頭に置いた正しい判断(投票)をするための投資と言うのは、目先に全くリターンがないために積極的に行わない人が多いだろう。ここに便乗するのが、週刊誌を筆頭にしたチープメディアだ。そのことを念頭に置きつつ、著者を始めとした浪人政治家の主張と言うのを聞く意味は非常に大きいと思う。
さて、中田氏については私は詳しくは知らない。従って、「革新的首長ではあったものの、スキャンダルを起こし、更に追及される前に国政に打って出ることを理由に、任期途中で辞任。しかも、風を読み誤り浪人中の政治家」というイメージで捉えていた。正に、「週刊誌プロパガンダ」に上手く操作された訳だ。本書を読んでみると、"スキャンダル"の背景が極めて良く理解できる。それすら一面的な言い訳なのかも知れないが、少なくともこの本の読者はそういう印象は持たないであろう。それは、本書を通じて彼が政治家として目指したこと、その志の高さを感じることが出来るからだ。
著者は、政治が嫌いだから政治家になったという。従って、誹謗中傷は当たり前と達観している。また、だからこそ家族を巻き込んでいないという点に大変共感した。印象に残ったのは、「就職活動としての政治」が多すぎるという下り。「私だって、家庭があり、子供を大学に出すまでは落選するわけにはいかない。」という政治家が多すぎるという。そうではなく、政治家と言うのは「公人」として成し遂げたい何かがあってボランティア的になるべきであり、「生業」とすべきではないというのが著者の立ち位置だ。
この程、著者は議会承認が得られれば、橋下大阪市長の下、副市長になるという報道がなされた。前職の経験を思う存分活かして頑張って貰いたい。
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