芥川賞、直木賞受賞作品はなんとなく読んでしまう。先般の直木賞作家、桜木紫乃は気になっていたものの読んでいなかった。この前の出張中、機内待機3時間が決定的となり、慌てて先ずこちらをKindleでダウンロードし(何て便利な世の中なんだ!!!)、読んでみた。
ん~、なんというか、中途半端な読後感だ。根底に流れる「貧しさ」というテーマがなんとなく、薄っぺらい。ごく一般人の取り留めのない話で終わっていて、なんか強烈に印象に残らないのだ。例えば、底辺社会の様なことをテーマにした本だと、「下流の宴」、「無理」、「ふがいない僕は空を見た」何かをここ数年では読んだが、それなりの「引きずる読後感」があった。しかし、「ホテルローヤル」はただただ薄っぺらいのだ。
その後、直木賞作家なんだから他のは面白いのかもと思い「誰もいない夜に咲く」を読んでみる。しかし、これも「ホテルローヤル」と全く同じ。北海道に短い期間ではあるが暮らしたことがある。よって、彼の地のなんというか遣る瀬無い感じは良く分かる。だからなんだろうか?こういう話ってあっても全然不思議じゃないし.....って感じてしまうのかも知れない。
この話を知人にしたら、「そりゃ~、ラブレス読まなきゃ。」という話になった。やや古い本なので、こちらは図書館で簡単に借りられた。そして....................、果たして、頭をトンカチでガツーーンと殴られた様な強烈な印象が残った。兎に角、凄い展開。読みだしたら止められない。強烈な印象を残す登場人物。誰が誰でどういう関係なのか、意図して混乱するように仕組まれている。それでも、ひたすら前へ前へと読み急がせる展開......。唖然とするおもしろさだ。最後の方に、作者が意図してかどうか分からないがほぼ一人称で登場しており、自身の体験が背景にあることが分かる。作者の強烈な人生体験をもとに書いたのがこの本なのであろう。そして、それだけ強烈に全身全霊を掛けて書いた本の後に続く作品が、つまらないものであるのは、必然であろう。経緯は知らないが、「ラブレス」こそ直木賞をとってしかるべき、作者の代表作であるに違いない。最近、面白い本読んでない人、ぜひおススメです。
恐らく、これほど読み手にとって印象の異なる本も珍しいのではないか?他人に読ませて感想を聞くと、その人の人生すら暴かれてしまいそうな、危険な本でもある。
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