本というのは、期待に反してホームランどころではない良書に出会うことがあり、それが読書の醍醐味だと思っている。特に、実用書は意外とヒットレシオが低く悩ましいが、それでも場外大ホームランに時々出くわすので辞められない。
松谷明彦著の「人口減少経済の新しい公式」と「2020年の日本人」はそういう意味で私の中から根拠のない楽観を排除して、未来への確信というか覚悟を与えてくれた格別のヒット策だったと思う。
以後、人口問題というのは日本経済を見通す上で最も重要なものだと考えており、これを無視したロジックは元々から破綻していると考えている。現実を直視しない「屁理屈」に付き合う必要がなくなっただけでも上記の2冊のメリットは大きかった。
そして、今週、久しぶりにこのテーマでの場外ホームランに出会った。
藻谷浩介著「デフレの正体」だ。
人口減が避けがたきマイナスプレッシャーとはわかっていたが、
その悪影響は死亡者数が出生者数を劇的に上回る10年から15年ごではなく、未曾有の就業者数減をみるこれから5年であるという事実は衝撃的だ。
一番重要なポイントは、内需は就業者数に左右されてきたし、これからもそうなる。
その就業者数は失業率が安定している日本では、生産年齢人口の波が決定要因。
就業者数予想は、以下の通り。
85年=>90年 +332万人
90年=>95年 +246万人
95年=>00年 -115万人
00年=>05年 -147万人
05年=>10年 -250万人
10年=>15年 -447万人 <=今からの5年が、まさに人口オーナス最悪フェイズ。
小売り、住宅、運輸などなど、様々な内需産業がこれまで以上の売上減に見舞われる可能性が高い。生半可なリストラ策では乗り切れそうにない。デフレプレッシャーは弱まるどころか加速するのだ。
こんななか、CPIの安定をターゲットに金融緩和を行うと、何が起きるのか?
「それでもここだけは大丈夫」という所に、資金が集中するのであろう。
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